「サスペンダーの独り言」ホーム > アーカイブ(2011年)

2011年12月22日

世間胸算用

師走といい極月と言っても、季節感の希薄になってきた近年では西鶴の時代のような切迫感を持たなくなってきているが、ただ懐中の侘しさをかこつ心持ちだけは時を超えて共通しているように思う。 昭和20年代の頃には暮れになるときまってラジオでは落語の「掛取り」や「芝浜」をやっていた。毎年のように流れるこの話を聞きながら借金取りというのはなぜ晦日にしかやってこないのか、と子ども心に不思議でならなかった。近松の浄...

続きを読む

2011年12月02日

クラインガルテン

もう冬支度を終わりかけた信州松本の旧四賀村を訪ねた。好天に恵まれたから、さほどに寒さを感じることもなく短い滞在を楽しむことができた。 坊主山クラインガルテンのラウベ(木小屋)にもう16年にわたって間歇的に棲みつき、お洒落な農作業をつづけている、フリーライターの岡崎英生君の厄介になったのである。 岡崎君は40年も前に劇画「しなの川」の原作者・作詞家としてマスコミに登場して以来、数々の名作をものし...

続きを読む

2011年11月30日

愛宕山(あたごやま)

大震災のとき、いそいで愛宕山に駆け上った人がいた。NHKが初めて電波を発信したことで知られるあの山である。その機敏さにはつくづくと感心する。前にも書いたように私は、東京タワーがゆさゆさ揺れている姿を6階の窓から茫然と見ていただけだから、とてもこんなことは思いつかない。考えてみれば、「芝浜」の噺にあるとおり、この港区芝のあたりは海浜だったのであるから、こういうときに液状化現象が起こったり、津波が攻め...

続きを読む

2011年11月02日

山のあなたの空遠く...

先日、NHKTVで宮崎県椎葉村の森の不思議な農法をとりあげていた。 平家の落人伝説で有名な椎葉村は、そのかなりの部分がダム建設で湖底に沈んだと聞いているが、ここに登場する「おばば」とその継承者たち(家族たち)は縄文時代から変わることのない、周期的な山焼き農法によって、森の潤沢なめぐみを今も享受しつづけているのである。 私事で恐縮だが、私の母はこの夏の盛りに107歳の生涯を終えた。私が駆けつけたとき...

続きを読む

2011年10月19日

石巻の秋

ハナミズキの葉が色づいて真っ赤な実をつけている。フジバカマも典雅でやわらかな匂いをふりまいている。この時季はもっと寒気が迫ってきていてもよいのだが、日中は汗ばむほどの陽気で、休日など半袖に短パンで過ごしているほどだ。しかし植物は正直なもので、紅葉すべきものはちゃんと色づいてくれるし、結実すべきものはきちんと秋の実をつけてくれる。 先週末、仙台、石巻と震災の地を駆け足でまわってきた。3・11以来三度...

続きを読む