2011年08月24日
雁の風景
このところ休みの日には、早朝に近所を散歩することにしている。 わが家の周辺は関東平野の僻地と言ってもよく、田園地帯が広がったさきにはうっすらと筑波山の威容を見ることができる。清々しい空気の中での散策は、私の数少ない贅沢なひとときである。 私の逍遥コースは、利根川の支流沿いを上手賀、下手賀の境に架かる何本かの橋を渡りながら、赤松宗旦が「利根川図志」に描いた布川周辺をぐるりぐるりと廻ることが多い。この...
2011年08月02日
タナゴ釣り
谷中のお店のカウンターで、よく隣り合わせる方からタナゴ竿を頂いた。五本接ぎ三本接ぎの手作りの竹竿である。小さくて華奢なタナゴを釣りあげるにいかにもふさわしい、精緻で美しい印籠接ぎのみごとな仕上がりである。 その方はべつに竿作りの職人さんなわけではない。しかしそのご自宅の工房には、採取して何十年も経つさまざまの形の布袋竹が、何本も何本も陰干しされて飴色になったのが保存されているのだと聞く。都の水道局...
2011年07月28日
なでしこに乾杯!
未明の4時だというのに、あの試合は日本中を熱狂させた。大震災に打ちひしがれたニッポンの心に久しぶりに涼風が吹き込み、灯がともった思いである。勝ち負けだけではない、なでしこジャパンのあのさわやかさが大きな感動を呼び起こしてくれた。 決勝戦のアメリカチームとの劇的な展開はまるで良質のドラマを観ているようなドキドキ感があった。ひとつひとつのプレイが強い印象をもたらしてくれたが私にとって、特に印象的だった...
2011年07月11日
月見草
散歩から戻る途中で庭の隅っこのマテバシイの根もとに、月見草が群れをなして咲いているのにふと気づいた。 「ああ」と私は思わず声をあげた。この植物は6年ほど前に、今咲いてるところとは反対側の砂利場で、いっぱいに咲きほこっていたのである。 その場所をガレージにするために、全部引き抜いて石畳にしてしまった。これ実はさんざん迷ったのであるが、娘の家族がやってきたときに車をとめるところがなくて、やむをえず決断...
2011年06月14日
玄鳥(つばくらめ)
梅雨の気配が濃厚になりはじめたころ、一泊で、家族と湯の山温泉に遊んだ。 この地は以前に仕事で呼ばれてきたことがある。そのときには風格のあるとびきり高級な旅館を用意していただいたのだが、今回は国民宿舎である。私の性に合ってるのだろう、清潔で質朴な、だが隅々まで気配りのゆきとどいたこの宿でじつに心温まる、ゆたかな思いをさせてもらった。 湯の山温泉駅の駅舎の鉄骨の中段にツバメが巣をつくっていた。母鳥が低...