「サスペンダーの独り言」ホーム

2010年11月30日

共通の感覚

私の卒業した高校の校長というのが、よくよく俳句が好きであったらしく朝礼の折りにはしばしば自作を披露してくれていた。残念ながら、せっかくの作品をほとんど覚えていないのだが大学受験の直前に聞いた、 「駅長の手袋白し 夜汽車発つ」 という一句だけは、今も不思議によく記憶している。田舎から蒸気機関車に引っ張られた汽車で長躯上京しようとしている少年の心に、なにか強く響くものがあったのであろう。 この先生は、...

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2010年10月28日

モズの俎板(まないた)

裏庭の銀杏の樹を根元から5メートルばかり残して伐り倒したのがおよそ5年前のことである。ずいぶん前に知り合いから10センチほどの苗木をもらって植えたのがいつのまにやら15メートル以上の亭々たる大木となった。 公暁が隠れていて斬りつけてくるほどではないにしてもまさに近隣を圧するような威容を呈するようになった。ただ困るのはその黄葉が周囲に散り敷いてわが家ばかりかお隣の庭の側溝や樋を詰まらせてしまうことで...

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2010年09月30日

表現について

朝出かけるときに玄関の扉の脇にある呼び釦の窪みの上に、ごくごくちっちゃな、あまがえるが鎮座していた。よく見かける雨蛙の標準的な体型からするとずいぶんと小さい。きっと子どもなのだろうと思っていたらあれで十分おとななんだという。今年の異常気象で、餌となる虫たちが繁殖しにくかったせいか、蛙も自分の身を縮めて種の防衛をはかっているものらしい。もっとも、これは家人のもっともらしい口調での言説であるからあまり...

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2010年09月21日

吾亦紅(われもこう)

昨年はほとんど見ることができなかったのだが、今年は、この記録的な炎暑のせいなのかどうか、吾亦紅がその愛くるしい花坊主を見せてくれている。 花、と書いたがあれは花なんだろうな、たぶん。 庭の隅に自生しているようなこの雑草風の植物が、いつのまにやらあの目立たない暗赤色の丸いオダンゴ状の球を長い茎の先につけてくれるとなんだかメルヘンの世界に遊んでいるような気分になる。 わが娘が中学生のときに聞かせてくれ...

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2010年08月24日

モニュメント

日暮里を降りて、谷中の夕焼けだんだんに向かい、御殿坂を少し上がった右手に月見寺がある。正式には長久山本行寺という名刹だが、江戸時代から月見のできる高台にあったことから月見寺と呼ばれているのだそうだ。境内に入ってすぐのところに句碑が建っている。   ほつと月がある東京に来てゐる   山頭火種田山頭火の書いた文字をそのまま掘り込んだもののようである。 その向かい側には一茶の   陽炎や道灌どのの物見塚...

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