中学生の道徳

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中学生の道徳

改正の趣旨・内容を
正しく踏まえた道徳の授業へ

京都産業大学教授・元文部科学省教科調査官 柴原弘志

授業改善に生きる評価の取組と学習指導の構想

改正学習指導要領において、道徳科における評価については、「生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある」と示されています。評価の対象を大きく「学習状況」と「道徳性」と捉えるとき、道徳科における学習状況の把握と評価は、その指導によって一人一人の生徒がどのようにその時間のねらいに迫れたかを把握することから、改めて学習指導過程や指導方法等について検討し、授業改善に生かすことができるものでなければなりません。授業改善につながる基本的な評価の観点は、学習指導過程や教材・指導方法等が、その時間のねらいの実現に効果があったといえるかどうかであります。したがって、その時間のねらいをどのように設定するかは、極めて重要なポイントであり、評価に対応できるより具体的なねらいを明確にしていくことが大切です。また、道徳科の目標については、今回その時間の学習指導の基本的な在り方を示す形で「(前略)よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」と規定しています。道徳科の学習指導を質的に向上させるためには、この基本的な部分をしっかりと押さえることが肝要であり、すべての教師がこのことを十分に理解したうえで学習指導を構想することが求められています。

本書にある教師用の「指導の手引」は、以上のような学習指導を構想するうえでの重要なポイントをしっかり押さえたものとなっていますので、大いに活用いただければと思います。

道徳科における「問題解決的な学習」の具備すべき要件

今改正では、道徳科における効果的な学習指導の方法として、「問題解決的な学習」に注目が集まっているようです。道徳科の目標や特質から、その学習に求められる基本的要件は、①道徳的(道徳上の)問題、すなわち道徳的価値が介在する問題を②自己の問題としてとらえ、③道徳的な解決を目指す学習であり、④道徳科の目標の実現やその時間のねらいの達成に資する学習であることとなります。問題としての態様は、次のようなものが考えられます。①道徳的価値が実現されていないことに起因する問題②道徳的価値についての理解の不十分さに起因する問題③道徳的価値を実現しようとする自分とそうできない自分とが葛藤する問題④複数の道徳的価値のどちらを優先すべきかという問題等々です。

本書には、そうした問題を含む教材も多く掲載されていますのでご活用ください。

昭和三十三年に「道徳の時間」が特設されて以降、我が国の道徳教育史上最大の改革が進められようとしています。改正学習指導要領の趣旨・内容を正しく理解し、無理のない形で着実に実践していくことにより、生徒の心にしっかり届き、響く道徳の授業を構想し、道徳性の豊かなはぐくみに資する道徳教育の充実に努めたいものです。