7月27日<金光大阪対箕面東 大阪府大会@南港中央球場 谷上史朗>
最後の夏が始まった。すべて季節は、この夏のために存在してきたのだ。黒土に弾む白球を懸命に追いかけて、青空を切り裂く白球の軌跡に胸を躍らせる。最高の夏を、小関順二、谷上史朗が追いかける。
7月27日(火曜日)晴れ
金光大阪9対1箕面東
大阪府大会準々決勝@南港中央球場
取材・文 谷上史朗
ここまで大阪を生き残っていきた8校が2球場に分かれ激突した準々決勝。今年はなんと8校中4校が公立という大阪としては"異例"の展開となったが、見事に対戦が分かれすべてが私立対公立の組み合わせとなった。
さて、舞洲と南港に分かれて行われた試合で僕が向かったのは南港。心情的には交野と履正社の舞洲での第1試合に最も心が向いていていたが、いろいろ諸事情も絡み舞洲へ。しかし、こちらの金光大阪vs箕面東、桜宮vs大体大浪商も、馴染みの学校が揃い楽しみにプレイボールを待った。
しかし、ここで取り上げる金光大阪vs箕面東の一戦は大方の予想に反する展開となり、金光大阪が7回コールド勝ち。1回戦からすべて先発で投げ続けてきた箕面東のエース濱田一輝が初回から乱れ、そこに守備の度重なるミスが続き2回終了時点で0対7。勝負は決まった。
濱田は130㌔台中盤から後半で手元で生きる球質のストレートと、ストレート時に比べやや腕は上げて投げてくるが空振りの取れるフォーク、昨秋からキレの増したスライダーを持つサウスポーだ。テークバックではヒジからしっかり巻き上げ、腕も振れる。この夏の大阪の左では最上位にランクされる投手でプロも注目していた。ただ、濱田は今回京都で準優勝の京都翔英で1年夏までプレーの後、家庭の事情で箕面東へ再入学した選手でドラフト対象選手ではない。そして、学年は2年だが、夏はこれが最後。
気持ちは入り過ぎるほど入っていたはずだが、何とも悔しいラストになった。投球練習時から荒れて、伸びを欠いていた球に、故障でもあるのか...、と思ったほどだったが、今になっても少し引っかかっている。何もなければいいが。来年は箕面東で練習を積み、秋のドラフトを待つようなので、もう1度中身からしっかり鍛え空白の1年を実り多い1年にしてほしい(この秋まで公式戦出場が可能という声も一部から聞こえていたが今の段階で確認できず)。
箕面東にはもう1人、僕が1年の夏から注目した穴田真規もいたが、今日は3番サードで出場もいいところなく終わった。1年夏の準々決勝で大阪桐蔭を追いつめた時から5番ファーストで出場の右のスラッガーで、かつ、当時はすでに130㌔台後半を投げる投手としての資質も見せており、僕はそっちでも大いに注目していた。しかし、ヒジ痛に悩まされ投手はほぼ断念。自慢のバッティングも僕の期待からすると伸びが物足りず、今日のラストとなった。それでも素材としては楽しみなものがあり、ここからどうなっていくか。
一方、勝利した金光大阪はやはり鍛え込まれた地力と、毎年のことだがメンバーに漏れた選手達が一丸となっての"スタンド力"が光った。負けられない最後の夏には、このグラウンド外の力が戦う選手にどれほどのプラスアルファを与えるか。
もちろん、どのチームもスタンドから控え選手達が仲間へ向けた声を送るが、金光のスタンドから響く声の大きさは圧倒的。もちろん、3学年揃えば今年も130人(?)を超える部員数による数の力は大きいが、それだけではない。1人、1人が腹の底から絞り出すボリューム、乱れない統一感。4月の入部時、新入生はまず初めの練習としてしばらくの間、揃っての声出し(挨拶等々)から行い、金光のカラーに染まっていく。そして、戦いが進む中でメンバーから漏れていっても、1人1人が何らかの形でチームに貢献しようと仕事を探し、働き、"この日"を迎える。
最後の夏に見せるスタンド風景もまた、彼らにとっての3年間の集大成なのだ。そう思うとあと2戦、ますます金光の強味が発揮される可能性は十分。130人余りの思いが詰まり、簡単には負けない、負けられないはずだ。
(写真上)3打席で計6人の走者を置いて打席に立ったが1人も還せず。悔しい打席となった穴田真規(下)相手チームにとっては大きな脅威となる金光大阪のスタンド力
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